谷田義弘税理士事務所

三重県鈴鹿市 谷田義弘税理士事務所

経済センサスを考える

こんにちは。
鈴鹿(三重)の税理士、谷田です。

伊豆の土石流被害に続き、今度は鳥取・島根地方で、線状降水帯が発生すると聞きました。
線状降水帯は、最近、天気予報でよく耳にする言葉ですが、ウィキペデアによれば、局地的な集中豪雨などの原因とされています。

集中豪雨による自然災害は、後を絶たず、年々被害が甚大化しているようにも感じます。その原因が、地球温暖化であると知れば、私たちにできることもたくさんあるはずです。

ある税理士の一日【令和3(2021)年7月7日(水)】

本日、顧問先様から「ダイレクト納付」を希望される連絡をいただきました。ちょうど先週の水曜日(木曜日配信)号のブログで取り上げたことは、活かされていなかったようですが、便利なのでオススメしました。税務署に手続書類を提出しなければなりませんが、一度してしまえば、その利便性を一生享受できることになります。

このほか、新入社員の受け容れ体制を整える事項として、いわゆる「36協定」の届出書を作成し、提出準備をしました。今年度から様式が変わったようです。特に印象深かったのは、押印が省略されている点でした。書き方がよくわからなければ、ネット検索をすれば、すぐに書き方の不明点を解決することができました。なお、この「36協定」の届出書を労働基準監督署に届けていない場合、労働者(従業員)を残業させることができず、もし残業をさせたら違法行為となりますので、十分ご留意ください。

また、「コロナ」で遅れた「令和3年経済センサス-活動調査」という書類が本日郵送で届けられました。各2号の青い封筒の左上には「重要」と書かれていました。
開封すると、鈴鹿市政総合政策課名で、「令和3年6月1日を調査期日にして、現在、総務省と経済産業省の所管調査である『令和3年経済センサス-活動調査』が実施されています。」「調査の実施にあたっては、調査員が5月中旬から各事業所を回り、調査票を配布することとなってお入りましたが、三重県でのまん延防止等重点措置やその他事情により、当初予定していた期間に調査票の配布ができませんでした。」と、あります。本来、6月8日が〆切のアンケートのようですが、到着はすでに1か月ほど遅れていることになります。
また、内容を見てみると、従業員数や売上、販管費(販売費及び一般管理費)や設備投資の有無、自家用自動車保有台数、土地・建物の保有台数、資本金の額、決算月などに加えて「サービス収入の内訳」が1位から10位まで各表が最後にありました。
私はこのアンケートに答える代わりに、文書を作成し、白紙のアンケート用紙とともに返送することといたしました。その文書をブログにて発表させていただきます。どうぞご高覧なさってください。また、謹んでご意見も承ります。

どうぞよろしくお付き合いください。

 

令和3年経済センサス-活動調査に対する「回答書」

本日、鈴鹿市役所総合政策課より、「令和3年経済センサス-活動調査」アンケートが送られて来ました。「令和3年経済センサス-活動調査 調査票の送付について」(令和3年7月 鈴鹿市総合政策課)によれば、

 令和3年6月1日を調査期日にして、現在、総務省と経済産業省の所管調査である「令和3年経済センサス-活動調査」が実施されています。

調査の実施にあたっては、調査員が5月中旬から各事業所を回り、調査票を配布することとなってお入りましたが、三重県でのまん延防止等重点措置やその他事情により、当初予定していた期間に調査票の配布ができませんでした。

と、あります。

 

 よくわかりませんが、まず初めに「期限が過ぎているアンケート」に答えるのか?今回のような郵送であれば「コロナ」は関係ないはずです。また、インターネットでの回答を推奨するのであれば、当初からそういう配布方法を検討できたはずです。

ということで、のっけからアンケートに応える意欲を減退させられる印象を強く持ちました。

それでも私はアンケートに協力しようと、「調査票」の内容を通読しました。既に名称や電話番号、住所や開設時期などには印字がされているので、無記名のアンケートではないことがわかりました。

それに、従業員数などはすぐに答えられそうですが、6月1日時点でよいのか?記入日現在なのか?通覧しただけではわかりませんでした。

「事業の内容」という欄では、

「調査票の記入のしかた」を参照して、できるだけ詳しく記入してください。

と、あります。

そこで、『調査票の記入のしかた』という16ページにも及ぶ冊子を見てみました。しかし、わずか一例が書かれているだけで、これでは参考になりませんでした。本当に「できるだけ詳しく」知りたいのか、疑念を持ちました。

また、これでは現在印字されている業種が正しいのか否かも判別できませんでした。

さらに、アンケートの質問項目を通覧すると、税務申告に添付した決算書を見ればわかる内容も含まれています。事業者は法人であろうと個人事業主であろうと、必ず税務署に申告しているはずです。これを見ればわかるのに、主権者たる国民に、自ら提出した決算・申告書類をわざわざどこから引っ張り出させて、それを紐解(ひもと)き、調べさせてアンケートに答えさせようとしているという認識はあるのでしょうか?その圧倒的大多数は、中小零細企業です。ご存じないと思いますが、こういった事業者は、やっとの思いで帳簿をつけ、決算を組み、何とか期限内に申告を済ませ、直ちに税金を納めています。部分的に通覧してみて、そんな国民に求めるアンケートの内容かどうか甚だ疑問を感じざるを得ませんでした。また、「経済センサス」は、全ての企業等を対象とした統計法に基づく国の機関調査と位置づけられています。もし、税務申告の内容を統計に活かすことに法的な問題があれば、統計法に基づく法律を制定すれば国民の負担を軽減できるはずです。

そもそもこのアンケートの目的は何だったのでしょうか?

全産業分野の売上(収入)金額や、費用などの経理項目を同一時点で網羅的に把握し、我が国における事業所・企業の経済活動を全国的及び地域的に明らかにするとともに、事業所及び企業を対象とした各種統計調査の母集団情報を得ること

とありますが、その先には、国の経済の様子を知り、たとえば中小企業に有効な経済政策を考える材料にすることではなかったのでしょうか?その目的を果たすために、中小零細企業者に事務的な負担を掛けて苦しめることは本末転倒どころか、本来の目的に反すると考えられます。

公務員を「公僕」と貶(おとし)める意図は全くありません。国を慮(おもんばか)りのこととご理解いただければ幸甚に存じます。

しかし、このアンケートは、看過するわけにはいかないほど、不合理なものと考えざるを得ません。

私は税理士として、たくさんの法人個人を問わず関わらせていただいていますが、「サービス収入の内訳」では、どの得意先からいくら収入を得たのかを書かなければなりません。これを調べるのは容易ではありません。事業規模が小さければ小さいほど、その事務的、経理上の負担は重くなります。さらに、この「サービス収入の内訳」を調べてどれほどの施策の役に立つのかも理解できません。もしこのアンケートで景気を回復させることができるといった効果を上げられるのでしょうか?

アンケートが無駄であるとは言いません。税金を遣って、国民に負担を掛けて、得られるパフォーマンスが小さく、公務員が汗を流さないような国を憂いているだけのことです。おおよそ主権者に対するものとは到底思えませんでした。改めてください。それが簡単なことではないと理解していますが、改めないとわが国に明るい将来は予見できない気がしてなりません。公務員がなすべき煩わしいことを、国民に押しつけているとしか考えられないのです。

また、税理士は税理士会から「経済センサス」の調査に協力するよう依頼を受けています。関与先や顧問先にこのような郵便物を受け取ったら、「是非協力してあげてください。」と、助言するよう、お願いされているわけです。

できれば、私は自分の顧客に嘘はつきたくないと考えています。

以上のようなことから、本日送られて来た「令和3年経済センサス-活動調査」アンケートには協力いたしかねますので、悪しからずご了承ください。

 

追伸 私にとって自分の時間は命に等しいものです。アンケートに答える時間よりも、もっと価値のある指摘や提言をすることこそ私の愛国心です。公務員や政治家に任せてはおけないと強く感じました。私の意見などは軽視される仕組みの国に住んでいるとは言え、私の憂(うれ)いを述べることをもってアンケートに代えさせていただきます。

以上

 

おわりに

いつもとは異なるブログとなってしまいましたが、私には思いの丈(たけ)を述べる機会があってよかったと思います。

ご意見がございましたら、ご一報ください。

 

今回もさごまでお読みいただきましてありがとうございました。