こんにちは。税理士の谷田です。
本日もよいお天気に恵まれ、春の陽気でした。やむなく名古屋の中心地に行く用(監査)があったので、行ってきましたが、コートを着ている人のほうが多かったように思います。私も薄手のウィンドブレーカーのようなコートを着ていてちょうどよかったと思いました。週末は天気が崩れそうです。
また、近鉄の往き帰りは、特急を使うことなく、座ることができた急行を利用しました。一部春休みの影響もあるかもしれませんが、「コロナ」の影響はまだまだ続いていると感じました。
そして、電車内や駅で卒業式に出席したと思われる袴姿の女子を見掛けました。あの和装も、女性にとっては一生に一度の大切な行事への装いなのでしょうか。何はともあれ、おめでとうございます。
本日も、経済産業省のホームページを参照し、「事業再構築補助金」指針の手引きを読み解きたいと思います。今回は5類型のうち、3番目に当たる「事業転換」についてです。どうぞよろしくお付き合いください。
ある税理士の一日【令和3(2021)年3月19日(金)】
本日は、午前中2件、顧問先様を巡回しました。この2件に共通していたのは、後継者問題です。1件目は、経営者の高齢化が進み、次の世代への事業承継を強く望んで見えますが、後継者がなかなか来てくれない現況にしびれを切らしている格好です。2件目は、初めてうかがったのですが、数年後を目処に経営を移譲する後継者が決まったとのことでした。私もホッとすることができました。なんだか嬉しい気持ちにも慣れました。
朝イチでお客さまにお越しいただきました。融資のご相談です。まだまだ「コロナ」融資は受けることができ、日本公庫と民間金融機関の両建てで実質無利息融資を計画しています。売上減少要件は、見込みを含め、5%あれば受けることができます。融資額についてはその内容によって決められます。
午前中に訪問した1件目の顧問先様は、決算・申告の打合せです。当期は、予想されてみえたとおり、若干の赤字となりましたが、その大半はいわゆる「均等割り」によるものです。そこで、資本金を1,000万円以下に減資することを再度ご提案申し上げました。そして、役員変更等の登記をする際に、減資の登記も忘れないで手続きする計画を再確認しました。消費税額を含んだ総額表示やインボイス制度について、説明させていただく機会となりました。そして、この顧問先様にとって留意すべきことを具体的にお話しすることができたので、意義深い面談となりました。
2件目の顧問先様は、事業承継のお話以外に、決算・申告書の説明をするための時間に多くを費やしました。社会保険料控除や医療費控除、あるいは消費税額が前期とほとんど変わらない点についても説明をいたしました。つまり、補助金や助成金といった公的支援を受け取った場合、法人税や所得税は課税されますが、消費税は課税されないことが原因でした。インボイス制度もよくご理解いただき、総額表示については、準備万端整っていることも確認できました。申告書の添付書面についての説明をさせていただきましたが、同席した事務職員から、「毎年同じことを言っている」と、指摘されました。私も事業承継を考えようと思いました。
これまでのあらまし
まず、前々回(2021.03.17 UP分)は、「事業再構築指針」と「新分野展開」の定義や要件について、通覧しました。
つぎに、前回(2021.03.18 UP分)は、「事業転換」について、その定義と例示を概観しました。
「事業再構築」には、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」の5類型があって、このいずれかに当てはまらなければならないことが定義づけられています。
また、「新分野展開」と「事業転換」には、それぞれ「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」があり、さらに前者には「売上高10%要件」が、後者には「売上高構成費要件」があり、これらを満たさなければなりません。
そして今回は、3番目の「業種転換」を取り上げます。
「業種転換」の定義
「業種転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
「業種転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。
と、されています。
ここで言う3要件は、これまでに説明したとおりです。
「業種転換」の要件を満たす例
【例①】賃貸業の例
レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンションを経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供することで、3年間の事業計画期間終了時点において、貸切ペンション経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定している場合
【例②】製造業の場合
コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定している場合
このように、
- 【例①】レンタカー事業(物品賃貸業) → 貸し切りペンション(宿泊業)
- 【例②】生産機械の製造業(製造業) → データセンター(情報通信業)
と、いうようなことが「業種転換」とみなされます。
おわりに
次回は、5類型のうち、4番目に当たる「業態転換」について、その定義と該当しない例を通覧します。
これまで見てきたように、これまでやってきた事業を大がかりに、抜本的に転換することが事業再構築であると、明確に定義づけされています。
単に、事業の拡大や組み合わせの変更といった安易な変更では「事業再構築」とはみなされません。
売上の減少よりも、これらの要件を満たすことは容易ではないと考えられます。
ただし、この補助金制度をきっかけに、自社の生き残りをかけた転換を考える機会にすることは意義のあることだと思料されます。