谷田義弘税理士事務所

三重県鈴鹿市 谷田義弘税理士事務所

「事業再構築」定義➋(事業転換)

こんにちは。税理士の谷田です。

本日は、顧問先様のご両親から、なばなをいただきました。先月にも頂戴しまして、煮たり、炒めたり、たいへんおいしくいただくことができました。今回は、お浸(ひた)しや和(あ)え物にも挑戦したいと思っています。名前を聞くだけで、心地よい春めいた気持ちになれました。

今回も、経済産業省のホームページを参照しながら、「事業再構築補助金」について、ご案内申し上げます。ご参考になさっていただければ、幸甚に存じます。なお、前回は、「事業再構築指針」および「新分野展開」について概観しました。こちらも合わせてご高覧ください。

一つご案内を申し上げます。当事務所は行政書士事務所も併設いたしておりますが、この「事業再構築補助金」は、原則、顧問先様や関与先様以外には受任しないこととしております。よく知らない企業様の事業計画を策定することは困難であるばかりか、信頼関係なしにお引き受けすることに抵抗感をおぼえるためです。少なくとも帳簿をお預かりして業務や経営の内容を把握していないのに、魂のこもった事業計画を書き上げることは難しいと考えております。また、いい加減な書類を書いて不採択となっても、これは無責任だと思います。令和2年に携わらせていただいた申請のうち、自分自身のものは2度不採択通知を受け取りましたが、3度目に採択されたことがありますが、これ以外の受任した申請(有償)はすべて採択されています。令和元年以前の補助金等の申請につきましても、採択されなかったものは1件もありません。したがいまして、関与をしたことがない事業者の方から依頼を受けることはございませんので、悪しからずご了承ください。

ある税理士の一日【令和3(2021)年3月18日(木曜日)】

本日は、午前中に1件の例月面談、午後に2件の例月訪問をさせていただきました。3件とも、経理や税務、あるいは資産税に関する有意義なご助言をさせていただくことができたと自負いたしております。

1件目は、消費税の総額表示とインボイス制度について個別具体的なお話しをさせていただきました。とりわけ、つい最近、外注さんから消費税の支給を求められているとのご相談をいただきました。この対応として、きちんと請負契約書を締結し、その中に消費税額をしっかり明記することによって、令和5年10月1日に導入されるインボイス制度への備えとすることができる旨、ご理解いただけました。

2件目は、4年後の2025年、30年掛けてきた生命保険が満期となり、3,000万円の満期金を受け取る予定であるけれども、これまでに支払った額がおおよそ2,300万円なので、700万円の利益が出てしまうので、どのように税金対策をしたらよいものか?とのご相談をいただきました。まず、この保険金が所得税法上の雑所得になるのか?一時所得になるのかを判別しなければなりません。これをはっきりさせるには、生命保険会社からの通知書類を読み解く必要があります。拝見すると、それは養老保険の満期金であることがわかりました。そしてハッキリと「一時所得」であると記載されていました。それから、支払った額に利息に当たる額を上乗せして、これを「必要経費」にすることができ、その額は生命保険会社が計算するので、お尋ねいただくこととなりました。よく理解いただけて、不安な気持ちを払拭することができたように思います。

3件目は、贈与と相続時精算課税、それに例月訪問と法人様の決算・申告の打合せに加え、所得税の最終確認と、たいへん欲張りな訪問ではありましたが、スムーズに行うことができました。これも顧問先様とのお付き合いが長年にわたることから、顧問先様が何をどうするのか?をよくご理解いただいて、そのご協力があってのことと拝察申し上げます。「コロナ」下における厳しい経営を振り返り、近隣の外部環境、次期の売上・利益見通しなどなど多岐にわたるお話しをうかがうことができました。

これまでのあらまし(事業再構築補助金)

事業再構築補助金」の要件は、つぎの5つの類型のうちどれか一つに当てはまることが求められています。つまり、「事業再構築」に該当するには、5類型に当てはまらないと認められないということになります。

  1. 「新分野展開」
  2. 「事業転換」
  3. 「業種転換」
  4. 「業態転換」
  5. 「事業再編」

前回は、1.「新分野展開」について、概観しましたので、今回は、2.「事業転換」について見ていきたいと思います。

 

「事業転換」の定義

「事業転換」とは新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更することを指します。
「事業転換」に該当するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。

と、されています。

これら「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高構成比要件」は、前回概説したとおりとなりますので、前回のblogをご参照ください。

 

また、「事業転換」の定義として、

中小企業等が新たな製品等を製造等することにより、主たる業種(※1)を変更することなく、主たる事業(※2)を変更すること

(※1)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業
(※2)直近決算期における売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業

と、されています。つまり、

事業転換に該当するためには、 3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の属する事業が、売上高構成比の最も高い事業となる計画を策定することが必要です。

といった「売上高構成比要件」が加わることになります。

「事業転換」の例示

【例①】飲食サービス業の例

日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合

【例②】製造業の例

プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合

このように、「事業転換」に該当するためには、日本標準産業分類上の細分類ベースにおける事業転換が求められることとなります。

また、これらの例に対して、要件を満たす考え方も示されていますので、経済産業省のホームページをご参照ください。

 

まとめ

まだ、「事業再構築」の定義の5類型のうち、2つを見たに過ぎません。

ここで5類型をもう一度簡単にまとめてみると、つぎのとおりとなります。

  1. 「新分野展開」…新たな製品等で、新市場に進出する
  2. 「事業転換」…主な「事業」を転換する
  3. 「業種転換」…主な「業種」を転換する
  4. 「業態転換」…製造方法等を転換する
  5. 「事業再編」…事業再編を通じて新分野展開、事業転換、業種展開または業態転換のいずれかを行う

今回は、2.「事業転換」を見ました。残り3類型が残されています。

どうぞよろしくお付き合いください。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。