谷田義弘税理士事務所

三重県鈴鹿市 谷田義弘税理士事務所

インボイス制度を考える

ある税理士の一日【令和3(2021)年1月20日(水曜日)】

こんにちは。鈴鹿(三重)の税理士 谷田です。

 

本日、令和3(2021)年1月20日(水曜日)は、気温は高くないかもしれませんが、透きとおった青空がまぶしい一日でした。昨日は、積もるようなことはありませんでしたが、雪がちらつく一日で「鈴鹿おろし」ということばを思い起こさせる一日でした。
また、昨日も今日も、夜はzoom会議です。

 

午前中3件、午後1件の顧問先様や関与先様にお越しいただいたり、おじゃまさせていただいたりしました。個人事業は12月が決算となるので、いよいよ繁忙期に突入です。日頃より、クライアントと当事務所職員がしっかり準備をしていただけているので安心ですが、些細なことにも心を砕いていきたいと思います。

 

そんな中、本日は「インボイス制度」について、顧問先様に説明をさせていただきました。この顧問先様にも、これまでに何度か説明をする機会がありましたが、いよいよ今年の10月から、税務署より「登録番号」が付されます。このため、税務専門誌でも、請求書や領収書への記載などについて、具体的に説明されています。
この「インボイス制度」が導入されると、この顧問先様には問題が発生することが予見されますので、この点について、面談の多くの時間を割いて、具体的に考えました。

 

これまでに、このブログでも取り上げたことがありますが、今回は、この具体的な事例を取り上げ、考えてみたいと思います。「インボイス」?という方は必見です!どうぞよろしくお付き合いください。なお、本文の作成に当たっては、国税庁のホームページを参照しました。

インボイス制度の概要

「インボイス」とは、「適格請求書」とも呼ばれ、通常の請求書に加え、以下の項目の記載がされたものをいいます。

  • 登録番号…令和3(2021)年10月1日以降、税務署より各消費税課税事業者に付されます。
  • 適用税率…軽減税率(8%)などがあれば明記する必要があります。
  • 消費税額等…消費税がいくらかを明記します。

 

そして、売り手側は、

売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。

また、買い手側は、

買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。

(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

インボイス制度の具体例

設備の保守管理や修繕をされてみえる顧問先様が、外注先様に外注費を年間220万円お支払いの場合、消費税(20万円)を含めて払っていただいています。この取引は、消費税がかかる取引ですから、何の問題もありません。そしてこの顧問先様が、消費税の申告をされる際には税務署に支払うべき消費税からその外注費にかかった消費税(20万円)を差し引いて納めます。

 

ところが、この「インボイス制度」が導入されると、この外注先様が消費税の課税事業者であるか否かが問題となります。しかし、現行制度では、この外注先様が消費税の課税事業者かどうかはわかりません。そこで、税務署から消費税の課税事業者に対しては、「登録番号」を付与して、これを請求書に明記してあれば、請求された(買い手)側は消費税を支払わなければなりません。この「登録番号」の申請が、今年の10月1日より税務署にて取り扱われることとなっています。

 

この顧問先様の場合、外注先様の中には、消費税の免税事業者も含まれています。ということは、令和5(2023)10月1日以降の消費税免税事業者の外注費に対して、消費税を支払っても消費税の仕入税額控除の適用を受けることができなくなりますので、これまで220万円支払っていた外注費を200万円に改めなければなりません。そうしなければ、顧問先様は20万円を二重払いしなければならなってしまいます。

 

ここで問題になるのは、外注先様にとっては、これまで220万円もらっていて、消費税を払わなくて済んできたものが、200万円しか受け取れなくなってしまいます。事実上、売上が目減りしてしまうことになってしまいます。これは、これまで消費税をもらっても納めなくてもよい免税事業者だったので「益税」の恩恵にあずかれていたものが、できなくなってしまうからです。

 

そこで、顧問先様は、あと2年9か月かけて、この外注先様に対し、説明して、理解を得て、納得していただく努力を区入り返ししていただかなければなりません。そうしないと、外注先様の立場に立って考えれば、死活問題になりかねないわけですから、これまでの取引関係や信頼関係を損ないかねないように十分配慮していただかなければならないことをご説明申し上げたわけです。

 

インボイス制度への対応がわからなければ…

当事務所の顧問先様には、すべて一昨年の年末までに、この「インボイス制度」の概要を説明し終えております。そして、顧問先様ごとにどう対応するかもいっしょに考えてまいりました。中には、ほとんど影響がないと見込まれる顧問先様もみえれば、今回の事例のようにしっかり対応を考えておかなければならない方もおみえでした。

早めの対応で、時間的余裕ができます。是非この機会に「インボイス」対応をお考えください。お困りなら、鈴鹿(三重)の谷田義弘税理士事務所にご相談ください。お役に立てることもあるかと存じます。

 

~~~令和5(2023)年10月1日「インボイス制度」が導入されます! 令和3(2021)年10月1日以降、「登録番号」の手続きも始まります! 早めの対応をお考えください!~~~