谷田義弘税理士事務所

三重県鈴鹿市 谷田義弘税理士事務所

インボイス制度のご案内

インボイス制度を知ろう!

本日(令和2年(2020)年10月6日(火曜日))は、朝から快晴となり、日中は半袖シャツでも暑いくらいでした。終始そよ風が吹き、湿度も低く、たいへん過ごしやすい一日でした。台風14号が近づいてきています。「備えあれば憂いなし」ですね。

昨日、一枚の請求書を受け取りました。様式が新しくなっているので、調べてみると、「インボイス制度」対応のものに変更されていました。さらに、税理士会支部の定例会に出席してみると、税務署からの説明資料にも「インボイス制度」が最も存在感がありました。当事務所の顧問先様に向けては、昨年末くらいまでにその説明や具体的な対応策の検討は終えていますが、今回は改めてこの「インボイス制度」を国税庁の資料をもとに振り返っておきたいと思います。と言うのも、来年の10月1日には、インボイス制度の登録が始められます。その2年後、つまり令和5年10月1日から、この「インボイス制度」が初めて導入されることとなっています。

ご自身には関係のないと考えの方も多いかとは存じますが、消費税のお話しとなるので、すべての方に関係します。どうぞよろしくお付き合いください。

インボイス制度って?

インボイス制度とは、「適格請求書等保存方式」の別名といえます。

買い手が仕入税額控除の適用を受ける要件(原則)として、帳簿に加え、売り手から交付された「適格請求書」(これまでの請求書に、請求した事業者が消費税課税事業者である場合、税務署から付された登録番号を明記した請求書等をいう)の保存が求められることとなります。例外的に、「仕入明細書等」による対応も認められますが、今回は割愛いたします。

つまり、これまで消費税免税事業者が受け取ってきた消費税が受け取れなくなるということです。

たとえば、工務店の外注先として一人親方の大工さんがいたとすると、その親方が消費税課税基準期間(原則2年前)の消費税課税売上高が1,000万円以下であるとすると、消費税免税事業者となります。大工仕事を請負って得た収入は、現在は消費税を請求することができる取引となっていますが、令和5年10月1日以降の売上からこの親方(消費税免税事業者)は消費税を受け取ることができなくなります。工務店の経理担当者は、この親方が消費税課税事業者なのか?そうでないのか?これまではわかりませんでした。2年前の消費税課税売上高が1,000万円を超えていたかどうか?知るよしもありません。そこで、令和5年10月1日以降、消費税課税事業者であるか否か、一目でわかるように、税務署から付された消費税課税事業者の登録番号を大工仕事の請求書に明記します。これを受け取った工務店の経理担当者は、消費税を支払っても差し支えないことを確認して代金を支払う処理をすることとなります。このとき、工務店の経理担当者が登録番号がないのに、消費税を支払ってしまう処理をすると誤りになるでご留意ください。また、請求書に書かれた登録番号が、真正なものかどうかは、インターネットで簡単に確認することができます。

このように、これまで消費税を払うかどうかは、取引の内容によって決められていましたが、令和5年10月1日以降の取引からは、請求する事業者が消費税課税事業者であるかどうかという要件が加えられることとなります。そして、消費税課税事業者であるかどうかは請求書に登録番号が明記されているかどうかによって判断することとなります。

適格請求書発行事業者の登録申請

これから消費税を受け取ろうとするには、令和3年10月1日~令和5年3月31日までの期間に、税務署に登録申請をする必要があります。これは、e-Taxでも提出することができます。

この手続きによって、税務署は申請した事業者に対し、消費税を請求してもよいというお墨付き、「登録番号」が付されます。といっても、法人の場合には、法人番号の最初にTを加えたものが登録番号となります。個人事業者や人格のない社団等は、「T+13けたの番号」が付されることとなります。

なお、消費税免税事業者が消費税課税事業者になることもできます。前述の手続きをすることによって、登録番号を付されることとなり、請求書に明記することとなりますが、当然、消費税を支払う義務が発生します。なお、この手続きは課税事業者となる課税期間の初日の前日から起算して1か月前の日までに登録申請を提出しなければなりませんので、どうぞご留意なさってください。

適格請求書の要件等

ここでは、「適格請求書」とはどんなものなのか?を見ていきたいと思います。

まず、適格請求書の要件はつぎのとおりです。

  1. 適格請求書発行事業者の使命又は名称および登録番号
  2. 取引年月日
  3. 取引内容(軽減税率の対象品目であることがわかるように)
  4. 税率ごとに区分して、合計した対価の額(税込みまたは税抜き)および適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

 

なお、国税等のインボイスに関するご案内はこちらです。インボイス制度|国税庁 (nta.go.jp)

ご参照ください。

インボイス対策はお済みですか?

これまで述べてきたように、インボイス制度は消費税の仕組みを大きく変えるものといえます。消費税を取引先に支払うのか?税務署に支払うのか?間違えてしまっては二重に払ったり、払いそびれたりしてしまいます。

また、このインボイス制度は取引先との関係を悪化させてしまう可能性を内包していると考えられます。たとえば、先に示した大工の親方は、おそらくインボイス制度の詳細を知らない可能性が相当あると考えられます。とすると、これまで消費税をもらえていたのに、令和5年10月1日以降分からはもらえなくなってしまいます。実にその額は1割にも及びます。大工の親方が驚く前に、工務店の社長や経理担当者はしっかり説明してあげることも、私はインボイス対策と考えています。

このほかにもやらなければならないインボイス対策は、たくさんあると考えられます。3年後には始まる新しい制度です。鈴鹿市(三重県)の谷田義弘税理士事務所は、インボイス制度がどのようにできたのか?といった成立の背景から立法趣旨も踏まえながら説明し、ご理解いただいた上で、顧問先様の業態に合わせた具体例を挙げて、困らないように対策をいっしょに考えております。

インボイス対策でお困りなら、是非つぎのメールからご相談なさってください。お役に立てることも多いかと存じます。