谷田義弘税理士事務所

三重県鈴鹿市 谷田義弘税理士事務所

所得税非課税となる昼食(弁当)代

本日(令和2年(2020)年9月17日)は、迷った末、窓を閉め、クーラーをかけて営業しました。夕方には少し雨が降りました。明日もスッキリしないお天気のようです。

午後は東海税理士会非営利法人支援専門研究会主催のWEB研修会に参加しました。事前にいただいた資料を見ながら「社会福祉法人の税務における留意点」というテーマの研修です。4千数百人いる税理士の内、20名程度の参加でした。「コロナ」でなければ、名駅の会議室で受講していたところでしたが、当事務所にいながら遜色(そんしょく)なく学ぶことができました。ところで、税理士には、年間36時間の認定研修受講義務があります。何年か前に「努力義務」から「義務」へと法律が改められました。このため、税理士会では遠方まで行かずに、高齢者や障害者に配慮して、研修を受講しやすくできるよう各支部あたりで「マルチメディア研修」を積極的に試行していましたが、この「コロナ」の影響で、一気に自宅にいながら受講できる「WEB研修会」(zoom)へと移行しています。このように、前日に続き、自宅で貴重な学びの機会を得られることに感謝したいと思います。

昨日のWEBセミナーでの「社員から選ばれ続ける会社」と本日の研修の内「食事の支給」に対する源泉所得税課税は共通点があると考えられますので、今回は従業員に対する昼食(弁当)代の補助を取り上げたいと思います。福利厚生に対する所得税の非課税の取扱いに着眼して、注意すべき点を洗い出します。これを機会に、福利厚生の充実についてお考えいただければ、幸甚に存じます。なお、本投稿の作成にあたっては、国税庁のホームページ(タックスアンサー)を参照しました。

昼食(弁当)代を支給したときの所得税非課税限度額の計算

  • つぎのいずれの要件も満たしていれば、その支給された食事(弁当)代は所得(給与)として課税されません。
  1. 役員や従業員が食事(弁当代など)の価額の半分以上を自ら負担していること。
  2. 次の金額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除く)以下であること。

(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

  • この2つの要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や従業員の負担している金額を差し引いた残額が所得(給与)として課税されることになります。
  • 言い換えれば、月額3,500円までの昼食(弁当)代の半額は、会社が負担してくれても、所得税はかからないこととなります。

所得税が非課税となる昼食(弁当)代〈ケーススタディー〉

  • 1か月当たりの昼食(弁当)代が5,000円で、その従業員は2,000円(給料から天引き)支払っている場合
  • この場合には、上記1の要件(半分以上自ら負担)を満たしていません。
  • したがって、昼食(弁当)代の5,000千円の内、会社が負担している3,000円は、給与所得として所得税が課税されることとなります。

所得税非課税対象となる食事の支給

  • 所得税が非課税となる食事代の価額は、つぎのような計算によります。
  1. 弁当(配達)などを取り寄せてこれを補助している場合には、その業者さんに支払う金額(税抜き価額)
  2. 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額(税抜き価額)
  • ケーススタディーでは、弁当屋さんに月額5,000円支払っているので、1に該当します。
  • 2では、調味料や割り箸などの貯蔵品を毎月棚卸しなければ、月額の食事をつくるのにかかった費用は求めることができません。
  • いずれにせよ、所得税が非課税となる食事代の価額には、消費税を含まないことにご留意ください。

昼食(弁当)代以外の食事に対する補助

  • 食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、補助をする全額が給与として課税されます。
  • ただし、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(消費税および地方消費税の額を除く)以下の金額を支給する場合を除きます。
  • また、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいこと(所得税非課税)になっています。

おわりに

  • 今回は、役員や従業員に食事の補助をすることにしぼって、所得税の考え方を概観しました。
  • 昨日の坂本講師のセミナーでは、「社員をしあわせにするために企業が存在する」といった考え方からすれば、お弁当代を半分会社が負担するのは、「当たり前」かもしれません。
  • ただし、そこにはこんなに複雑なルールがあることも事実です。
  • 福利厚生を充実させつつ、役員や従業員の所得税も考える経営者になることも「正しい経営」ではないでしょうか。
  • 当事務所も、お弁当屋さんから毎日のように配達をしていただき、上限3,500円まで弁当代の半額補助をしています。
  • 補助をされる側もする側も、それが「当たり前」になっていますが、昨日のWEB坂本セミナーで、「当たり前に」なっていてよいことを確認できました。

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