ある税理士の一日【令和2(2020)年12月2日(水曜日)】
こんにちは。
鈴鹿(三重)の税理士 谷田です。
本日、令和2(2020)年12月4日(金曜日)は、山の稜線がくっきり見えるほど空気が澄んだ秋晴れの一日でした。朝から、職員総出で事務所の玄関を磨き上げました。大掃除を分割して部分的に行っていきたいと思います。
本日は、なるべく人に会わず、予定していた面談や税理士会の定例会も欠席し、昼過ぎに土地の現況確認に出かけましたがこれ以外には外出も控え、検温も異常ありませんでした(35.7℃)。定期的に事務所の窓の開放はうっかりすることが多かったようですが、今後の課題にいたします。
本日お越しいただいた顧問先様より、「教育資金一括贈与」のご相談を受けました。今回は、この「教育資金一括贈与」について税務署のリーフレット(令和元年5月)を参考にまとめてみました。どうぞご参考になさってください。
また、この週末も、いつもどおり、この配信をお休みさせていただきますので、どうぞご了承ください。
https://tanida-tax.jp/blog/column/20201205-970/
「教育資金一括贈与」を考える
令和3(2020)年の3月31日までに、30歳未満の方が祖父母などから、金融機関(銀行などや証券会社)との契約によって、教育資金を贈与したときに、贈与税がかからなくなるなどの優遇措置を受けることができる制度です。
お孫さんが、医学部に入ったときなどに、有効な優遇措置と考えられ、結果的に支払う税金を軽減させることができることもあります。
ここでは、「教育資金一括贈与」という制度を大まかに捉(とら)えて、その活用法を考えたいと思います。
「教育資金一括贈与」ってなんだ?
「教育資金一括贈与」のあらましについて要点をまとめてみると、
- 平成25年4月1日~令和3年3月31日までに
- 30歳未満の方が
- 祖父母など(直系尊属)から
- 教育資金に充てるために
- 金融機関などとの特定の契約により、その教育資金非課税申告書を提出する(税務署に直接手続き不要)ことで
- 1,500万円までに対して贈与税が非課税となる。
と、なります。
この制度を利用するには、令和2(2020)年12月4日現在この制度が延長されることは決められておりませんので、来年の3月までに手続きをしなければなりません。
本日ご相談いただいた顧問先様のお孫さんは、小学校3年生とうかがいましたので、20年近くかかって最大1,500万円を教育に充てる資金を一括で贈与しても、一定の要件を満たせば、原則として贈与税がかからなくなります。
「教育資金」とは?
「教育資金一括贈与」で言う「教育資金」とは、つぎのとおりです。
- 学校等に対して直接支払われる以下の金銭
⑴入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
⑵学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等(学校教育法で定められた「学校」に加え、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所など)における教育に伴って必要な費用など
- 学校以外の者に対して直接支払われるつぎのような金銭で、教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるもの
⑶教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
⑷スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養向上のための活動にかかる指導への対価など
⑸⑶または⑷の指導で使用する物品の購入に要する金銭
⑹⑵に充てられるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
⑺通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
なお、「教育資金及び学校の範囲」に関しては、文部科学省ホームページ〔www.mext.go.jp〕の「教育資金及び学校の範囲に関するQ&A」をご参考になさってください。
「教育資金口座」はどこへ行けばいいの?
銀行や信用金庫、信託銀行に証券会社が教育資金口座の開設を扱っています。お取引があったり、近所の金融機関にお尋ねください。
教育資金非課税申告書の作成も、その金融機関が取り扱うことになりますので、直接税務署に贈与税の申告をしたりする必要はありません。
ただし、贈与者(祖父母など)がお亡くなりになった場合、相続税の申告が必要になることがありますので、このときには税理士にご相談ください。
また、教育資金口座からの払い出し方法にはつぎの二つ提出期限があります。なお、教育資金として支払った事実を証する書類などは必ず保管して管理する金融機関に提出しなければなりませんのでご留意ください。
⑴教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合…領収書等に記載された支払年月日から1年を経過する日まで
⑵⑴以外の方法を選択した場合…領収書等に記載サレタシは来年月日の属する年の翌年3月15日まで
繰り返しになりますが、領収書などの証憑をなくさないようにご提出ください。
贈与者(祖父母など)が亡くなったらどうなる?
今回の受贈者は、80歳代前半の方です。一括贈与した最大1,500万円を、20年近くかかって遣いきるまでご存命とは限りません。もし、それまでにお亡くなりになったらどうなるのでしょう?
このように、契約期間中に贈与者がお亡くなりになった場合、その死亡3年以内の贈与に対しては、原則として、贈与ではなく、相続によって取得したものとみなされます。ただし、つぎの場合には相続等によって取得したとはみなされません。
・受贈者が
⑴23歳未満である場合
⑵学校等に在学している場合
⑶教育訓練給付金の支給対象のなる教育訓練を受けている場合
は、契約期間中に受贈者が死亡した場合でも、相続等によって取得したとはみなされません。
・これらを考慮した結果、相続税の申告をしなければならないことがあります。
まとめ
このように、「教育資金一括贈与」を利用するには、税理士事務所や税務署ではなく、取扱いをしている金融機関で「教育資金口座」を開設し、領収書などを提出して教育資金非課税申告を提出していただかなければなりません。
この「教育資金一括贈与」はどんな方が利用するのでしょうか?
たとえば、幼少の頃からバイオリニストやフィギアスケートでオリンピックを目指しているけれど、ご両親の経済力だけでは継続が難しいものの祖父母は裕福な場合などにはたいへん有効な税制であると思いました。子どもの夢や可能性を応援する制度になり得るものと考えられますので、是非ご活用ください。
「教育資金一括贈与」についてのご相談は…
鈴鹿(三重)の谷田義弘税理士事務所なら、このように「教育資金一括贈与」のアドバイスも承っております。どうぞお気軽にご相談なさってみてください。
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国税庁ホームページ・税務署リーフレット、
あるいは鈴鹿(三重)の谷田義弘税理士事務所・たにだ行政書士事務所まで~~~~~