配偶者居住権を計算する
本日(令和2年(2020)年10月2日(金曜日))も朝から好天に恵まれました。午後になると薄曇りとなり、蒸し暑くなりました。当事務所は、今日もまた、窓を開放しての営業となりましたが、夜は我慢できず、久しぶりにクーラーをかけました。
午前2件、午後に2件の来客があり、デスクワークの合間にスムーズにこなすことができました。また、仕事の受注もありました。法人成りが1件と相続税が1件です。それぞれご紹介や相見積もり後のお話しなので、受注に至る可能性は高いと思います。昨日の個人事業4件も合わせると、気の引き締まる思いです。夜は、数日前につくった天ぷらの残りを利用して、天丼にチャレンジしてみました。インスタントラーメンを作るより簡単にでき、満足しています。
今回も配偶者居住権について考えてみます。これまでは税理士の専門性を余り必要とされない内容でしたが、今回は国税庁のホームページを参考にしながら配偶者居住権の評価について具体的な計算を試みたいと思います。わかりやすく説明いたしますので、どうぞお付き合いください。
配偶者居住権とは?
法務省のホームページによれば、
配偶者居住権を「配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者に建物の使用を認めることを内容とする法定の権利」
と、されています。
そして、その配偶者居住権には相続税法上の価値が付けられることになります。
今回は、その計算事例を取り上げて、配偶者居住権の具体的な取扱いを体験してみましょう!
配偶者居住権などの評価
用語解説
- 配偶者居住権…一方の配偶者が亡くなって、残された配偶者がそれまで住んでいた建物に住み続けることができる権利です。
- 居住建物…配偶者居住権の目的となっている建物を指します
- 敷地利用権…居住建物の用に供される土地のことです
つまり、配偶者居住権に関わる建物と土地をどのように相続財産上の評価をするのか?これがポイントとなります。
これを理解することは、たいへん難解な計算をマスターすることとなりますので、つぎの計算事例を理解できなければ、節税の額または率だけでも通覧なさってください。
計算事例
【国税庁ホームページより】
- 計算にあたって留意すべき事項は、
- 法定耐用年数の1.5倍する
- 「生命表」を用いて平均余命を求める
- 一定期間後に目的の金額を得るための年利率を示す係数 「複利現価率」(小数第3位まで)を用いて、利息にあたる部分を評価する
- また、2,000万円の建物の配偶者居住権に関する居住建物の価額は、6,705,217円と評価されます。つまり、13,294,783円が配偶者居住権の価額として差し引かれることとなります。
- このように、5,000万円の土地の配偶者居住権に関する敷地利用権の価額は、14,950,000円と評価されます。
- もともとの居住建物の敷地のように供される土地の相続税評価額は5,000万円でしたので、これより先に求めた配偶者居住管にかかる敷地利用権14,950,000円を差し引くと、35,050,000円となり、これに対し相続税が課税されることとなります。
節税効果のあった額
このように、2,000万円の相続評価額とされていた建物が、配偶者居住権の評価を経ると、6,705,217円と13,294,783円の評価減となりました。
また、5,000万円の相続評価額とされていた土地は、配偶者居住権の評価を経ると、35,050,000円と14,950,000円の評価減となりました。
建物と土地を合わせると、28,244,783円相続財産評価額が減額されました。率にすると、約40.35%評価額が減額される結果となりました。
いかがでしたか?
土地と建物の約4割が相続財産上の評価が下げられる結果となりました。事実上の減税です。
配偶者居住権を設定する留意点
前回の復習となりますが、この配偶者居住権を設定するにあたっての留意点は、
- 遺言
- 遺産分割協議
しかチャンスがありません。
「2」の遺産分割協議で話がまとまるかどうかはやってみなければわかりません。
ということは、「1」の遺言で予(あらかじ)め配偶者居住権を設定しておいてあげないと、遺(のこ)された配偶者のその後の生活が脅かされることとなりかねません。
そして、遺言者には自筆証書遺言と公正証書遺言があって、前者は本人が書いたものかどうかを家庭裁判所で検認の手続きを経なければなりません。後者の公正証書遺言は数万円以上の費用がかかったり証人2名を準備(公証人役場で用意していただける)して、その方たちに遺言の内容が知られることとなるといったデメリットがあります。そこで、本年7月10日より、法務局にて、自筆証書遺言の保管制度が始まりました。
こういったものをうまく活用してみてはいかがでしょう?また、これらの制度を使いこなすには、専門家の力を借りるとよいでしょう。
相続をじっくり考えるお手伝いなら…
このように、相続を真剣に考えるなら、鈴鹿市(三重県)の谷田義弘税理士事務所にもご相談なさってみてください。相続を得意とする税理士が常駐しています。じっくりお話しをうかがうヒアリングから始め、最善策をご提案します。そして、これをご納得いただけるまで説明してまいります。どうかお元気なうちに、いつもいっしょにいてくれるご家族のためにも、その後のことを考えてあげてください。
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