自筆遺言証書を作成するメリット
本日(令和2年(2020)年9月25日)も、午前中には顧問先様の例月訪問、昼前には急な来客とお昼をごいっしょし、午後は補助金申請の打合せなどなど、たいへん充実した一日を過ごさせていただくことができました。
今回は、相続を「争族」にしない具体的な手立ての一つ、手軽に遺言書を作成する方法ついてご案内したいと思います。
これまでにもしばしば取り上げてきた公正証書遺言ではなく、本年(令和2年(2020)年)7月10日(金曜日)より施行されている自筆遺言証書の保管制度を取り上げます。
法務省のホームページを参考に、そのメリットを中心にまとめました。ご参考になさっていただければ幸甚に存じます。
自筆証書遺言の保管制度とは?
- まず、遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、自筆証書遺言の特徴はつぎのとおりです。
- いつでも自由に自分で書くことができる(15歳以上)。
- 要件(書いていなければならないこと)がモレていると、無効になる。
- 自分で書くので、特に費用はかからない。
- 書いた人(遺言者)が自らその原本を管理しなければならない。
- 本人が書いたものかどうかを証明するために、家庭裁判所で検認手続きが必要となる。
しかし、自筆証書遺言保管制度を利用すると、
- 法務局で自分の書いた遺言書を保管していただける(有償)。
- 法務局で保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所での検認手続き(前項5)が不要となる。
したがって、自筆証書遺言は、お手軽で自由に書きやすい遺言書と言え、この利便性を高めることができるのがその保管制度と言えます。
自筆証書遺言の保管制度の概要とメリット
これまでに述べてきたように、自筆証書遺言保管制度は、自ら作成した遺言書(自筆証書遺言)を法務局にその保管を依頼することができる制度です。
この制度を利用することによって、遺言者(自分の遺言書を書いた人)にはつぎのようなメリットがあると考えられます。
- 法的に有効な遺言書を保管することができる。
- 遺言書の紛失・焼失・廃棄・亡失などを防ぐことができる。(例①火事で焼けてしまう 例②死後発見されることなく、自分の意思を実現できない)
- 他人に遺言書を見られないで済む(例①他人に見られると、廃棄・隠匿・改ざんのおそれがある)
- 相続人や受贈者など自分の財産を引き継いでくれる人の手間を省(はぶ)くことができるので、一種の「終活」と考えることができる(次項参照)。
また、前項3のとおり、相続人や受贈者などにはつぎのようなメリットがあると思います。
- 先にも述べた家庭裁判所での検認手続きが不要となるので、相続手続きがスムーズに行える。
- 被相続人(財産を残してなくなった方)の意思を引き継ぐことができる。
自筆証書遺言の保管申請
では、自筆証書遺言の保管制度を利用するにはどうすればよいでしょうか?
まず、ご自身で遺言書を書かなければ話しは始まりません。
この遺言書で、自分の財産を把握し、誰に引き継いでほしいのか?ご自身の意思をはっきりさせてください。
これが調(ととの)ったら、つぎのものを用意して法務局の窓口に行きましょう!
法務局の窓口で必要なものは次の5点です。
- 自筆証書遺言(A4サイズ・両面不可・綴り込みや封印不可)
- 申請書(指定の様式)
- 添付書類(本籍地記載の住民票)
- 本人確認書類(運転免許証など顔写真付き身分証明書)
- 手数料(1件あたり3,900円)
また、保管の申請先はつぎの3カ所で受け付けていただけますが、必ず予約が必要です。
- 遺言者の住所地
- 遺言者の本籍地
- 遺言者が所有する不動産の所在地
当事務所の近隣では、次の3つの遺言保管所が窓口
になっています。
- 鈴鹿市=津地方法務局鈴鹿出張所
- 津市・亀山市=津地方法務局本局
- 四日市市=津地方法務局四日市支局
「争族」を回避するために
公正証書遺言にしても、自筆証書遺言にしても、遺言書をきちんと残すことは、「争族」を回避する上でとても重要なことです。
それは、被相続人(亡くなられた方)が誰に何をあげるか?を決めておいてあげないと、法定相続人が相談して決めることになります。
法定相続人の中には、
- 自分が一番被相続人の面倒をみたとか、
- あの法定相続人は被相続人から一番学資を出してもらっているとか、
- 墳墓の世話は自分がするのに…、
などなど枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がないほどの感情が交錯(こうさく)することはごく自然なことだと思います。
こういった方々が、いくら親族だからといって、被相続人の残してくれた財産を仲良く分けることができるとは限りません。
仮に「仲良く財産分け」ができたとしましょう。しかし、それはそのときの感情だけで、その後の人生で、お金に困ってしまったとき「あのときもう少し財産をもらっておけば…」思うこともあるかもしれません。
残された親族がずっと仲良く過ごすためにも、被相続人の意思表示はとても大切だと考えられます。
以前にも、「相続で一番大切なこと」は、「モメないこと」と私見を述べさせていただきましたが、この「争族」を回避する最も有効な手立ては遺言書を残すことだと思います。
公正証書遺言は、少なくとも数万円の費用がかかったり、2人の承認を求められたり、といったデメリットがあり、自筆証書遺言には先にも述べてきたような危なっかしい点(自身で保管して死後きちんと反映されない懸念・家庭裁判所での検認手続き)がありました。
それが、今年の7月20日(金)以降、法務局で自筆証書遺言の保管制度が実施されるようにな、1申請あたり3,900円で、焼失や改ざんの心配、検認手続きもなくなりました。
是非、これを機会にご活用をご検討いただければと存じます。
自筆証書遺言の作成にお困りなら…
三重県鈴鹿市の谷田義弘税理士事務所は、相続税対策も考えながら、自筆証書遺言の作成に関して助言するサービスも承(うけたまわ)っております。自筆遺言証を作成するには、ご自身で書いていただく必要がありますが、法律上のさまざまな要件を満たす必要もあります。
「モメない」相続を終活の集大成として相談に応じることができるのは、行政書士事務所(遺言書の作成)と税理士事務所(相続対策)が併設されているからです。
自筆証書遺言の作成でお困りなら、つぎのフォームにて谷田義弘税理士事務所までご連絡ください。お役に立てることが多いかと存じます。