午前中、台風一過で晴天に恵まれ、洗濯日和と見込んでおりましたが、昼頃の雨で、干した洗濯物を止(や)むなく部屋干しにせざるを得なくなるお天気でした。
本日(令和2年(2020)年9月8日)は、ようやく法務局より私が作成した「法定相続情報」にお墨付きをいただきました。質・量ともにやりがいのある内容で、約1か月越しのやりとりとなってしまいました。先日の「家賃支援給付金」に匹敵するほどのよい勉強をさせていただけました。心より感謝するとともに、達成感に浸らせてもいただけました。
そこで、今回は再びこの「法定相続情報」を、津地方法務局製「法務局から新しい制度のご案内です。」というリーフレットや法務局ホームページを参照して取り上げたいと思います。以前の内容との重複を恐れず、わかりやすく解説しますので、どうぞご高覧ください。
はじめに
前回の内容でもおわかりのように、相続では、法定相続人(法律上相続の権利を有する者)が誰であるか?何人いるのか?といったことがたいへん重要となります。
これを明らかにするには、戸籍を調べなければなりません。
戸籍には、いつ生まれて、いつ結婚・離婚して、いつ亡くなっかといったことが記載されています。
届け出さえ出してあれば、誰に何人の子どもがいるのか?続柄に加えて、名前や生年月日も含めてわかることになっています。
このように、戸籍は、特定の場面で、法的にその方の出生から死亡までを示す、たいへん重要な公的文書の一つと言えます。
法定相続情報証明制度とは?
- 被相続人(亡くなった方)の法定相続人(法律上相続する権利のある方)は誰で、その法定相続人は被相続人の配偶者なのか?子どもなのか?といった関係を登記官が証明する制度です。
- 平成29年5月29日から新たに始まった制度です。平成30年4月1日には利用範囲の拡大のために取扱いの変更がありました。
- 法務省のホームページによれば、「近時,相続した不動産について相続登記がされていないケースが数多く存在していることが,東日本大震災からの復興に関連して報道されるなど,相続登記が社会的な関心を集めていることを御存知でしょうか?相続登記が放置されているため,所有者の把握が困難となり,まちづくりのための公共事業が進まないなどのいわゆる所有者不明土地問題が顕在化しており,また,相続登記の未了は,適切な管理がされていない空き家が増加している大きな要因の一つであるとの指摘もされています。」と、制度創設の背景が述べられています。
法定相続情報のデメリット
- 先述のとおり、登記官が公的に証明するためには、「申出書」などの手続き書類に加え、戸籍や住民票といった法定相続人が誰であるのかを示す公的な書類を提出して、登記官に内容を確認していただかなければなりません。
今回、法務局に提出した公的な書類は、ざっと47通ありました。このうち、多ものは8枚になるものもあります。
- また、公的な証明書類の原本を作成することになるので、誤字などは許されません。たとえば、「★ヶ丘」という表記において、(小さい)「ヶ」と(大きい)「ケ」が住民票と一致していなければ、当然、訂正を求められます。たいへんな労力が必要となります。
- なお、お一人お一人の戸籍をたどって、それぞれ確認していかなければならないので、どうしても時間がかかってしまいます。
- 費用もかかってしまいます。
交付手数料は、原(現在)戸籍は1通当たり750円かかり、戸籍謄本は450円、戸籍の附票と住民票は300円などとなっています。
他県など、遠方の場合には、郵便で各市町村の戸籍・住民課(係)とやりとりをするので、交付手数料のほかに、郵送料もかかります。
さらに、郵便でのやりとりになると、支払は定額小為替になりますので、1枚当たり100円の手数料もかかります。
何よりも、ご自身でできないと考えた場合、専門家(行政書士・税理士)に依頼すると、その報酬がかかります。
- このように、「法定相続情報証明」を交付していただくには、「労力・時間・費用」、言い換えれば、「手間・暇・お金」がかかってしまうということです。
法定相続情報のメリット
- 法定相続情報とは、申立人(相続人など)に代わって税理士や司法書士、あるいは行政書士などが作成した「法定相続情報一覧図」(法定相続人が誰で、その法定相続人は被相続人(亡くなった方)との間柄を一覧にした図)を法務局が証明していただけることはこれまでに述べてきたとおりです。
- この制度を活用することによって、相続登記、いわゆる「預金の凍結」解除、相続税申告などの手続き上、ときには膨大となる戸籍書類一式の提出を省略することができます。
- 今回の事例に当てはめて考えると、数十通以上の公的な書類を収集することが手間暇やお金がかかってたいへんなことはご理解いただけたと思いますが、これらの書類を金融機関に提出したら帰ってこなかった場合、再び収集しなければなりません。少なくとも、相続税の申告に際しては、全ての戸籍関係の書類の原本を提出しなければなりません。はじめから、それぞれの戸籍や住民票などの書類を何通か取り寄せるのでしょうか?そんなことをしなくても済む点が法定相続情報の最大のメリットと考えられます。
- また、「法定相続情報証明制度」を利用すると、無料で何通もの証明書を入手できます。多めに交付の手続きをすれば、原本が戻って来なくても安心というだけでなく、複数の金融機関や法務局、あるいは税務署に対し、複数の「法定相続情報」を同時に提出することができます。たとえば、ゆうちょ銀行に対して預金の「凍結解除」を申し出た場合、おおよそ1か月かかってしまったと聞いたことがあります。民間の金融機関(銀行や信用金庫等に加え、証券会社含むも)でも、当日に「凍結解除」ができることは希(まれ)のように聞いています。つまり、手続きにおいても、大幅な時間短縮が可能となります。
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谷田義弘税理士事務所(三重県鈴鹿市)なら、行政書士事務所も併設しているので、相続手続きを強力にサポートすることができます。相続について思い悩んでみえたら、是非つぎのメールでご一報ください。お役に立てることがきっとあるかと存じます。