日々の税理士業務で、「コロナ禍」でも利益を出して節税を考えなければならないといったご相談を受けることが時々あります。今回は、そんなときの法人税や所得税の節税について考えたいと思います。
節税❶役員給与等による調整
- 役員給与…自身の給与を自由に決めることができるのは、中小企業経営者の特権でもあります。ただし、役員給与を増やすと受け取った役員の社会保険料や所得税なども増えてしまうこととなります。また、役員給与は、必ず「定期同額ルール」を守らなければなりません。あるいは、役員へ賞与を支給するには、特段の合理的な理由があって、定められた期限内に事前確定給与の届出書を税務署に提出しなければなりません。
- 役員でない親族の給与…「定期同額ルール」は適用されませんので、自由に設定できますが、受け取った方の社会保険料や所得税、市・県民税に影響を及ぼします。
節税➋退職金の積立て
- 親族以外の従業員の退職金…「税退共」「中退共」などなどに加入できます。
- 親族等の退職金…「税退共」には入ることができませんが、「中退共」「特退金」等に入ることができます。
- 代表者の退職金…「税退共」「中退共」とも利用できません。生命保険会社の商品を活用することが一般的です。
節税➌その他
- 倒産防止(セーフティー)共済…得意先の倒産による貸倒れを補うための保険ですが、支払額は全額損金(必要経費)にすることができるので節税にも利用されています。
- 小規模企業共済…たとえば、役員給与を引き上げてその給与の中から支払うその役員が手法が考えられますが、所得税、市・県民税を節税することはできますが、社会保険料の節約にはなりません。
- 生命保険の活用…いわゆる「掛け捨て」などの保険に加入し、代表者等の保証を手厚くし、万が一のときに備え、法人を守ります。
- 損金(必要経費)を増やす…生産性が向上するような設備や機械などを導入し、消費税や法人税・所得税を抑制する手法です。必要のないものまで買うことはないと思います。
- 利益(もうけ)を減らす…割に合わない仕事をお断りして、売上や利益を減らす手法です。信用をなくさないようにしなければなりません。
- 売却する…将来のことを考え、利益をたくさん出しているときにM&Aなどによって、会社そのものを売却する手法です。後継者がいない場合などには考える必要があります。
おわりに
- 役員給与の「定期同額ルール」については、必ず専門家(税理士)にご相談なさったほうがよいと思います。こういった内容の相談は、税務署に尋ねても教えていただけないことになっています。
- 信頼できる相談者が身近にいるかいないかが成否を分けることになります。さらに、その相談相手に、日頃からご自身の状況や意思を伝えておくことも大切だと思います。
- このように、一言で「節税」と言っても、ケースバイケースであることを理解していただければ、それだけで幸いです。
この「コロナ禍」を機を、節税について考える機会にされてみてはいかがでしょう。
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